糖尿病と歯周病の関係
歯周病とは
歯周病というのは、歯肉と歯を支持している組織(この両者を総杯して、歯周組織といいます)が、細菌の感染によって侵される炎症を主な症状として進行する病気で、日本人の成人のおよそ90%近くの人が罹病しています。
進行には個人差が
其の進行には個々人によって大きな個体差があります。
つまりさまざまな危険因子に対する、個体の応答が異なるためで、進行の早い人と、緩やかな人がいます。
タバコを吸う人や、糖尿病罹患者では、個体の歯周病原菌に対する防御力がとくに低下しているために、歯周病の進行が早く、たとえ治療をしても治りにくいのです。
糖尿病のコントロールが適切になされていない患者の口腔内には、次のような症状の見られる事が多くあります。
症状説明
1)歯牙にみられる症状
- 説明のつかない歯痛
- 齲蝕(糖尿病患者に特有の硬組織欠損がみられる)
- 歯根面の広汎な齲蝕(歯頚部齲蝕)
2)歯周組織(歯肉)にみられる症状
- 独特な歯肉の炎症性変化(ポリープ様の歯肉の腫脹)
- 歯周病指標値(プロービング値、出血指数など)の悪化
3)舌の変化
- 舌痛症
- 舌筋の緊張度の低下
- 地図状舌の発現
4)唾液腺の変化
- 唾波の粘稠度の変化(耳下腺の肥大)
- 口腔乾燥症(カンジダ症を誘発)
- 口腔乾燥は薬剤の副作用とも関係が深い
5)その他
- 口腔内創傷の治癒の遅延
- 口腔粘膜の爛や潰瘍の形成
- 日和見感染症の発見
- 糜爛性扁平苔癬
- 口腔粘膜や舌の灼熱感
新潟市開業:石井正敏先生著 糖尿病と歯周病より引用